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宇多田ヒカルという唯一無二の表現者のステージを盛り上げる1着 流れるような造形美と、レッド、オレンジ、イエロー、ブルーなどが織りなす色彩豊かなパレット。幾重にも重なり、複雑な華やかさと軽やかさが漂うこのステージ衣装の デザイン ・制作を手掛けたのは、デザイナーの宮前義之率いるA-POC ABLE ISSEY MIYAKE チームだ。 そしてその素材開発を担当したのは、人工素材開発、事業を通じて世界平和を希求するスパイバー(Spiber)株式会社の 関山和秀 。もともと慶應義塾大学の先端生命科学研究所でクモ糸の人工合成を研究していた関山は、2007年にスパイバーを設立。クモや自然界の生物が作り出すタンパク質の特性についての研究で培った技術やデータを活用し、世界に先駆けて人工構造タンパク質の量産化技術の確立に成功している。これまでもザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)、サカイ(SACAI)、ユイマ・ナカザト(YUIMA NAKAZATO)などとのコラボでも話題を集め、日本の繊維産業と最先端のバイオ研究を繋ぐ役割を担っている。 今回スパイバーは、新たなプロテイン繊維「Brewed ProteinTM(ブリュード・プロテインTM)ファイバー」を提供。長年に渡り、 宇多田ヒカル の衣装を担当するスタイリストの小川恭平による監修が加わり、唯一無二のスペシャルピースが完成した。 宇多田も実感! 毎回新しい発見がある衣装 実際に衣装を着用した宇多田は、7月30日の仙台公演のMCで次のようにコメントしている。「(ステージ上の)スクリーンで見るたびに『後ろはこうなっているんだ!』とか、毎回新しい発見があって。軽くて、すごく新しい素材なんだって。ブリュード・プロテインだったかな。すごく 環境 にいいんだって。一粒で3度くらい美味しいね。最高!」 ライブという総合芸術に調和する衣装を目指して 「Brewed ProteinTM(ブリュード・プロテインTM)ファイバー」とは、植物由来のバイオマスを原材料に使用した微生物の発酵プロセスにより生産される人工構造タンパク質繊維。シルクのような光沢と繊細さを持つフィラメント糸、さらに上質でなめらかな肌触りのカシミヤや嵩高性に優れたウールのような紡績糸にも加工することができ、すでにさまざまな糸、生地へ展開され多くのブランドで採用されている。 2021年には国際標準化機構(ISO)の規格が改定され、「タンパク質繊維」には天然由来のタンパク質だけでなく、 バイオテクノロジー によって人工的に製造されたタンパク質繊維も含まれるようになり、新たなカテゴリーの素材として国際的に認められている。カシミヤやウールなどの動物由来の繊維と比較すると、精密発酵で作られるBrewed ProteinTMファイバーは 温室効果ガス 排出量や、土地や水の使用量が大幅に削減できると見込まれている。 今回の衣装は、Brewed ProteinTMファイバーとポリエステルを混織した生地を用いて、異素材の熱への反応による縮率の違いを活用し狙った形に変形させながら伸縮性のある生地に仕立てる イッセイ ミヤケ の「Steam Stretch」という独自の技術を使い制作されている。 デザイナーの宮前は今回の衣装制作を次のように振り返る。 「スパイバー側からお話をいただき、ミュージシャンの方への衣装提供は今回が初めてでしたが、代表の関山さんから伺った素材自体の可能性や未来のビジョンに関心と共感を持ち、挑戦させてもらうことにしました。進化し続けながらも普遍的であり、唯一無二の存在である宇多田さんの表現を後押しできるような、そして音楽そのものや舞台芸術などを含めた総合芸術であるライブの中で、衣装がその一つとして調和しつつ存在感を出せるように工夫しました。Brewed ProteinTMファイバーを最適なバランスで取り入れることによって、独特の風合いや形を実現しています」 そして、スパイバーの関山も今回のコラボを次のように語ってくれた。 「宇多田さんはジャンルで括れない、唯一無二な方。既存の枠組みや境界を超越する宇多田さんが生み出す音楽が、この25年間ものあいだに、本当にたくさんの人たちの人生のシーンを彩り、救い、力を与えてきたことは想像に難くありません。今回のベストアルバム、ツアーのコンセプトなども伺い、新素材ならではの不思議さ、まだ何物にもカテゴライズされていない曖昧さが、宇多田さんの「SCIENCE FICTION」という世界観にスムーズに溶け込むイメージを持てました。そんな宇多田さんの表現に協力できる機会をいただけるのであれば、ぜひやらせていただきたいと思いました」 革新的なソリューション創造に取り組むバイオテクノロジー・ベンチャーと、一枚の布の上に繰り出すアイデアを多彩に操るファッションブランドによるコラボレーションが、宇多田ヒカルという唯一無二の表現者のステージをいっそう盛り上げた。 「HIKARU UTADA SCIENCE FICTION TOUR 2024」 8月17日(土)、8月18日(日):香港・AsiaWorld- Arena 8月27日(火)、8月28日(水):大阪・大阪城ホール 8月31日(土)、9月1日(日):神奈川・Kアリーナ横浜 オフィシャルサイト: https://live.hikaruutada-tour-official.com/ Photos: Courtesy of Takay, Spiber, Cherry chill will Editor: Mayumi Numao.

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