featured-image

「昨年の感謝祭は、夫のマイケルだけが撮影のためフランスに滞在していました。ですから、私と子どもたちは彼には知らせず、私と息子は西海岸から、娘は東海岸から彼の滞在するフランスの ホテル に入って“サプライズ”を仕掛けました。すると撮影から帰ってきた彼は、私たち3人の姿を見て「なんてことだ!」と叫んで目の前で泣き崩れてしまったのです。本当に、心臓発作でも起こしてしまうのではないかと心配になりました(笑)」 2023年、『HELLO!』誌にこう語ったキャサリン・ゼタ=ジョーンズは、1969 年9月25日にイギリス・ウェールズで生まれた。奇しくも同じ誕生日で、今日 80歳になる夫の マイケル・ダグラス とは、1998年に初めて出会ったときから「私は、あなたの子どもたちの父親になる」と彼女を口説き落とし大 恋愛 の末に結ばれたことでも知られる。そのため、当時女優として大きな飛躍を遂げる中での彼との結婚は、その年齢差が25歳と離れていたことからメディアの恰好の的になり、センセーショナルに報じられた。 その後2013年に一度破局を迎えながらも、現在は2人の子どもたちも成人し、円満な結婚生活を送っているキャサリンとマイケルは、ハリウッドでも指折りの“安定したカップル”としての地位を確立。その結婚生活の実情は「真実の愛には努力が必要」とかつて語ったマイケルの言葉に集約されているようでもある。 双極II型障害の公表 「当時私はとても 孤独 を感じて、もう誰も私を必要としていないのではないかと思うようになりました。それから私は、完全にパニック状態に陥って一人でバスや地下鉄に乗ることが怖くて出来なくなってしまったのです。そして、私の言動が周囲の人を落ち込ませてしまうことも多々あったので、私は努めてポジティブでいようとして常に疲弊していました」 イギリス『ガーディアン』紙に対しこう明かしたキャサリンは、これまでの人生で2度自身の精神疾患を公表している。 1度目は、20代前半に付き合っていたBBCの番組「 Blue Peter 」のMCジョン・レスリーとの破局後、うつ病に罹患したことを公表。そしてマイケルとの結婚後、彼ががんを患ったことで極度の ストレス を受け、アメリカ・コネチカット州の精神病院で5日間治療入院した際に双極II型障害と 診断 された事を明かしたのが2度目だ。 当時は、公の場で精神疾患について明かすセレブがほとんど皆無だった中、自らの病状を公表したキャサリンに対し、 メンタルヘルス 慈善団体「 SANE 」の最高責任者のマージョリー・ウォレスは、「彼女の発表は、精神疾患は誰もが苦しみ得る症状であるということを(人々に)認識させるのに大きく貢献するはずです。大切なのは、当事者が自分の精神疾患をしっかり受け入れること。自分の病気の正体を知らず自ら命を断つより、治療可能な病気だということを知ってもらわなければならない」と歓迎の声明を出し、敬意を表した。 そしてその後も、元サッカーイングランド代表ポール・ガスコインも双極II型障害に罹患していることをオープンにしたり、さまざまなセレブが公表に踏み切ったことは、キャサリンの公表が少なからずメンタルヘルスとの向き合い方にポジティブな影響を及ぼしたこと示唆している。 うつ病と双極II型障害との違い うつ病と同じ“気分障害”に入る双極性障害は、大きく2つの型に分かれる。大暴れしたり、大金を散財するなど、病的で激しい“奇行”が目立つ躁状態とうつ状態を繰り返す「双極I型」。そして、うつ状態が長く続き、途中ごく短く軽い躁状態が現れ、それを交互に繰り返す「双極II型」で、キャサリンが罹患したのはこれにあたる。 長いうつ状態が続く双極II型は、その特徴からうつ病との見分けがつきづらく、診断には長い経過観察期間を必要とする。その理由は、長いうつ状態の間にごく短期間の軽い躁状態が現れ、それを当事者が“今日はいつもより調子が良い”と軽くとらえて気付かない場合が多いからだ。そしてここに、この病の難しさがある。 双極II型の治療も基本的には投薬で、気分の波をコントロールする気分安定剤を使うことが多い。だが、うつ病患者に用いる抗うつ剤を使用すると、双極II型の場合は気分の波がさらに大きくなる危険性が高まることから、この病の克服には正確な診断が重要な鍵を握る。 そこで、診断を短期間かつ正確に下すために大いに役立つのが、気分の波や精神状態を毎日記録しておくことだという。この病の診断の決め手は、短期間の躁状態をできるだけ早く発見することにあるが、医師が診察時に瞬時にそれを見抜くことは不可能だ。そのため、医師がこの病を正確かつ迅速に診断するためにも、こうした“自己申告”が大きな一助となる。職場でも、もしうつ病と診断されながら休職・復帰を繰り返している人がいる場合は、一度この病を疑ってみる必要があるかもしれない。 頑張った自分へのご褒美は家族との時間 「親なら、自分の子どもが芸能界に入りたいと言ったら心配すると思います。だからマイケルと私は、子どもたちに別の キャリア を考えたほうが良い、と言ったことがありました。ですが、私たちは二人の真剣な姿をずっと見てきましたし、すでにセレブリティがどういう存在なのか、私たち 夫婦 を見て生まれながらに知っています。つまり、良いことも悪いことも、微に入り細に入りすべてわかった上で目指しているので、いまさら強く反対する理由もないでしょう」 以前アメリカのトークショー「トゥデイ・ショー」で、子どもたちの芸能界入りを明かしたキャサリンとマイケルのSNSには、2人の子どもたちの姿が頻繁に登場する。2022年にブラウン大学を卒業した息子ディラン・マイケル・ダグラスは、2016年にディスレクシア(学習障害の一つ)を公表し啓蒙活動に勤しむ一方、モデル、俳優、声優として活躍し『フィニアスとファーブ』(2007)等に出演。そして、兄と同じブラウン大学に通いながらモデルとして活躍中の娘キャリスも、 映画 『Shell』(2024)などに俳優として出演するなど、両親と同じ道を着実に歩んでいる。 そして現座、自らの精神疾患を公表し、メンタル ウェルビーイング のあり方に大きな影響を与えたキャサリン。「家族と過ごす時間が、自分への最大の ご褒美 」と語る彼女は、これまでの人生を『ニューヨーカー』誌の インタビュー でこんな風に振り返っている。 「私は、自分がこれまでいかに恵まれているかを実感しています。ですがそれば、ただ単に”ラッキーガール”という意味ではありません。私は、これまで自分がどれだけ苦労したかをしっかり理解しており、その上であらゆる幸運に恵まれてきた、ということです。そして今、私はこれまでの俳優としての”労働”の成果を享受しています。欲しかった物を買ったり、人生を共有したり、世界中のどこにでも旅をしたり──頑張ってきた自分に対し、自分なりの方法でご褒美をあげています。今私は自分の人生を思いっきり楽しんでいて、これまでの人生を本当に愛おしいと思っています。そしてこの気持ちを、世界中の人に知らせたいと心から思っています。世界中の言語を話せたらどんなにいいことか──そう思うのです」 参考文献: https://www.theguardian.com/uk-news/2020/oct/19/ former-blue-peter-presenter-john-leslie-cleared-in-sexual-assault-trial https://www.

express.co.uk/life-style/health/1542696/paul-gascoigne-healthalcoholism-bipolar-disorder-psychosis-symptoms https://www.



hellomagazine.com/celebrities/503010/catherine-zeta-jonesfears-for-michael-douglas-unearthed-interview-family-life/ https://www.instyle.

com/catherine-zeta-jones-michael-douglas-relationship-timeline-7969377 https://www.theguardian.com/film/2011/apr/14/catherine-zeta-jones-bipolarcourage https://www.

sane.org.uk/ https://www.

bbc.com/news/uk-wales-13073676 https://www.usatoday.

com/story/life/people/2012/11/13/catherine-zetajones-instyle-cover-helps-defuse-bipolar-stigma/1703053/ https://www.hellomagazine.com/celebrities/503010/catherine-zeta-jonesfears-for-michael-douglas-unearthed-interview-family-life/ https://www.

juntendo-molecular-psychiatry.com/bipolar/ https://medcare-tora.com/bipolardisorder/574/ https://people.

com/parents/all-about-michael-douglas-kids/ https://www.newyorker.com/culture/the-new-yorker-interview/catherine-zetajones-is-enjoying-herself Text: Masami Yokoyama Editor: Rieko Kosai.

Back to Entertainment Page