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二人合わせて最強になるソーシャルバタフライ V 豊かなパートナーシップを育んでいく上で二人が大切にしていることは? Bunta 感謝と笑い。 Jaryd 優しさと笑い。 V 笑いはやっぱり共通項。 Jaryd あとお互いを気にかけ、補い合っています。私の弱点は彼の強みであり、彼の弱点が私の強みであることは、私たちの関係にとって本当に良い点です。 V 例えば、どんなときに補い合っていると感じますか? Jaryd 私は本を読んだり、 インテリア を動かしたりして、家にずっといても楽しく過ごせるタイプ。一方、Buntaは外に出て新しい体験をしたり、人と出会って話したりするのが好きなタイプ。でも、いざ初めての場所にくると、Buntaは恥ずかしがり屋なので話しかけるのが苦手なんです。僕はその逆で、出不精だけど、知らない人と話したり、友達を作ることが得意。Buntaが居てくれなければ、僕はそもそも外を出歩いたり新しい場所に行かなかったと思うけど、Buntaと出会ってからは多くの素晴らしい経験をすることができて、本当に良かったです。 Bunta 僕はJarydのことをソーシャルバタフライと呼んでいて、本当に誰とでも話せちゃうんです! 道端でおばあさんが困っていたら、荷物持ってあげましょうかとかすぐに助けに行くし、観光地で一人で写真を撮っている人がいたら、撮ってあげましょうかと自分から言ったりする。イベントでも、もちろん誰とでもすぐに仲良くなってしまうんです。結果として、どっちも求めていたものが手に入るというか。新しい経験ができるし、新しい人と会えて話せるというのは、二人一緒にいるからできることだと実感しています。 Jaryd 彼と出会ってから、私は新しいことに挑戦するようになったと思います。毎朝同じ場所でコーヒーを買い、同じ道を歩いて駅に行き、昼食も同じものを食べる人のことを英語では「Creature of Habit」というのですが、僕はそういう人でした。でも、Buntaと出会ってから習慣が変わり、今は「新しいことを試そう」と積極的に考えるようになりました。 Bunta 私は逆で、同じことをするのがすごく苦手だったんですけど、家で過ごす時間の良さを知りました。いつも新しいことを吸収しなきゃと思い、せかせかと次の行き先を決めることばかり考えていましたが、一歩立ち止まる時間を持つようになり、心にゆとりができました。 決断するのは本人だけど、どんな選択も支える V 二人で一緒に乗り越えられたと感じるような体験はありますか。 Bunta それぞれの 転職 のタイミングなど、お互いのライフパスをお互いがサポートしあったからこそ、次のステップにいけた感じがします。 Jaryd 一番大切なことは、彼がどんな決断をしたとしても、私は彼をサポートするということ。彼の人生であり、彼自身が選択したことを一番大切にしたいということ。私からの圧力で決断をしてほしくはありません。その前提を持って、転職を考えていたときは、メリットとデメリットを一緒に書き出して、深く話し合うなどしました。双方に影響を与える問題について、話し合うことは重要ですが、最終的には自身の決断であることを理解することも大事だと思うんです。 この人と一緒に、残りの人生を過ごしたい V お二人が共通の価値観を持っていて、誠実で共感に満ちた関係性が、相乗効果を生んでいるのをとても素敵に感じました。そんなお二人は、今年婚約されたと。本当におめでとうございます! Bunta & Jaryd ありがとうございます! V どんなプロポーズでしたか? Jaryd 今年一緒にニュージーランドに行き、家族や友人にBuntaを紹介して素晴らしい時間を過ごしたあと、クイーンズタウンに行きワイナリー巡りをしました。僕はニュージーランドに行く前にデザイナーに相談して婚約指輪を作ってもらっていたので、その指輪をずっとバッグに入れていて、ブドウ畑の中でプロポーズしようと思いタイミングを見計らっていました。しかし、Buntaは「そろそろ他のところ行こう!」って言い始めて...

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。 Bunta 飽きちゃったんですよ(笑) Jaryd なので、私たちは僕の祖母の大切な地であるアロータウンに向かいました。すると人里離れたところに素敵なスポットがあり、流れる川に古い木が倒れて横たわっていて、私たちはその木の上に座り、足をぶらぶらしながら水につけて話していました。今だ! と思い、僕や、僕の家族や友人がどれだけBuntaを愛しているかを話しながら、ポケットから指輪を取り出し、ひざまずいてプロポーズをしました。 Bunta もちろん、すごく感動しました。でも、指輪を出してくる前に急にいつもとは違うテンションで「この度は家族に会ってくれてありがとう」って言ってきたら、「何これロマンチックなシチュエーションなの?」って聞いちゃって。本当に想定していなかったから、空気が読めない発言をしてしまい...

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(笑) Jaryd そう、だから僕は「ロマンチックを演出しようと思っているんだよ!」って言ってね。たくさん笑いあって、僕たちらしい婚約の仕方だったと思う。 V 付き合って3年が経ち、「この人と結婚したい! プロポーズしたい」と思い立ったきっかけなどはあったのでしょうか? Jaryd ある日ふと「この人と一緒に残りの人生を過ごしたい」と思ったんです。論理的に考えても、私たちはとても特別な人間関係を築いていて、未来についての希望や夢についても話し合ってきました。今、この瞬間を、この人と過ごす時間を愛しているので、これを永遠に続けたいと。 Bunta 照れる。 母から届いた、人生で一番重く、温かい手紙 V 婚約してBuntaさんの中で変化したことはありましたか。 Bunta 以前、母がJarydと会ったときは「友達」として紹介してて、婚約時も母にカミングアウトしていませんでした。なので、Jarydと婚約したことを手紙にしたためて送ったのですが、なかなか返事が来ず...

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ドキドキしながら3週間が経ち、心の準備をしていた矢先、「パートナーがいて、この先の未来が一人じゃなくてよかったね。まだ信じられないし、周りの人にどう説明したらいいかわからないけど」といった内容の返事が返ってきて、母は母なりのプロセスを踏んでいるのがわかる手紙でした。それは、30年間生きていた中で最も重みのある手紙だと感じています。 その後、母と一緒に 旅行 へ行くことができ、以前より親子の関係がよくなった気がします。心を開いてくれた母に感謝しています。 Jaryd 言葉では表せなくても、お母さんは態度で表現してくれていると思う。もしも受け入れていなかったら、僕らに会って一緒の時間を共有してくれなかったはず。 同性婚によって、日本の文化や家族観が破壊されるという考えは滑稽 V Jarydさんの視点から、日本の婚姻の 平等 に関する議論をどう感じていますか。 Jaryd 正直に言ってしまうと、私は婚姻の平等が認められていないことは馬鹿げていると思います。多くの外国人は、日本は先進的な未来社会を生きているというイメージを持っていますが、同時に過去を生きている部分もあります。 同性婚 や選択的 夫婦別姓 の問題などは、その一例です。同性婚や夫婦別姓によって日本の文化や家族観が破壊されるという考えは滑稽。二人が愛し合っているなら、結婚させればいい。夫婦がそれぞれの名前を持ち続けたいなら、その名前を持たせてあげればいい。それが他の人に、どんな影響を与えるのでしょう? 先日の 東京 都知事選挙では、同性婚や夫婦別姓が争点の一つとなりました。少子高齢化や過労死、インフレによる生活費の高騰など、本来もっと議論されるべき課題がある中で、なぜ同性婚や夫婦別姓で足踏みしているのか理解できません。さっさと解決して、政治はもっと大きな問題に集中すべきだと思います。 Bunta 他の国と比べるのはよくないですが、 人権 問題に皆がもっと注目するべきだと感じます。自分には関係ないんだろうと、他人事として思っている人が多いように感じます。個人レベルで考えると、もっと豊かに違いを受け入れられると思います。例えば、電車や外を歩いているだけでも“他人”と違ったことや外見をしているだけで、とっても冷ややかな視線を感じることがあったり、お巡りさんに止められたり...

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。私は小学生のときに地元山口県出身の詩人、金子みずゞさんの詩をよくおばあちゃんと読んで育ちました。彼女の有名な詩に「みんなちがって、みんないい」ってありますよね。大人になって本当に大事な言葉だなと改めて思います。 Jaryd トランスジェンダー の方が性別を変更するには、性別適合手術と同時に不妊手術(生殖腺の除去)を受けなければならないというのは、恐ろしいことです。人権の観点から非常に心配に思います。ニュージーランドは非常に自由な国なので、理解し難いです。 でも、日本の人々はとても親切で、礼儀正しく、街は清潔で暮らしやすいです。本当に素晴らしい国で、もしそうでなければ私も住んでいないと思います。 V お二人のように、互いの違いをリスペクトし補い合う視点は、社会の生きづらさを解消していく上で重要な要素だと感じます。たくさんの人とつながっていく二人から、優しい世界が広がっていくような、そんな気持ちにもなります。お二人は今後、どんな未来にワクワクしていますか。 Jaryd これまでに二人でたくさんの新しい経験をし、たくさんの素晴らしい人たちに出会い、多くのことを成し遂げられたと感じています。それがたった3年でのことですから、次に何が待っているのかが、とても楽しみです。自分の弱点が彼の強みと結びついて新しいことに挑戦することや、その逆も含めて、とてもワクワクします。 Bunta いっぱいやりたいこと、行きたいところがあるね。アイデアを出し合っている結婚式のこととか、もっと直近なところでいうと、今取り組んでいる新居のリノベーションもとっても楽しい! Jaryd そうだね! 細かなディテールが得意なBuntaと、大胆なレイアウトとかが得意な自分。僕たちは、本当に相性がいいと思う。数カ月後、自分たちで作り上げた家に引っ越すことが、めっちゃワクワク! Photos: Daiki Tateyama , courtesy of Bunta & Jaryd Text&Interview: Mina Oba Editor: Mayumi Numao >>「私たちのパートナーシップ」連載のアーカイブはこちらから。.

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