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家族で 移住 したオランダから、一時帰国中の15歳のタトゥーアーティスト、 NOKO は、タトゥーの魅力を「それぞれのタトゥーが持つ思い出や物語」だと捉えている。実際、亡くなってしまった ペット とずっと一緒にいたいから(ペットの面影を)彫ってほしいとメッセージをもらうことも多い。そして、「不安を隠したり、美しさを高めたりできること」を、タトゥーのもうひとつの魅力に挙げる。「父がお客さんのコンプレックスだった傷跡を隠すためにタトゥーを入れたら、そのお客さんは人生が変わったと泣いて喜んだそうです」 国内外にその名を馳せる彫師である GAKKIN を父に持つ。初めて人肌にタトゥーを施したのは6歳のときだ。「父からペットの文鳥のタトゥーを入れてほしいと言われて、父の足に彫ったのが最初です。サイズは小さめで、時間もさほどかからなかったのですが、当時は手が小さく、皮膚を伸ばす力も足りなくて、マシンも重かったので、線が汚くなってしまいました。でも今見ると、これはこれで味があってかわいいと思います。父は、『これこそ思い出だ』と言って、大事にしてくれています」 グラフィカルでオリジナリティにあふれたモチーフのベースはすべて「猫や植物、動物など自身が好きなもの」。人間より動物や虫を描くのが好きで、園児の頃は、虫やお化けばかりを描いていたという。オランダ移住後に好きになったという猫も頻繁に描かれる。11歳の頃、タトゥーを練習中だとインスタに載せると、多くの人が練習台になりたいとメッセージをくれた。ただ、フォロワーが増え、現地の新聞に取り上げられたことで、 児童労働 局から子どもが働くのは違法だと連絡が入る。仕事としてではなく、練習(無料)だと伝え、理解を得たが、今は基本的にはシリコンやフルーツだけに彫っている。「オランダは13歳から学業に差し支えがない軽い仕事(日曜日以外)は許可されますが、コロナの時期も重なり、人に彫るのはやめました。今は15歳ですし、前よりもうまく線が引けるようになったのですが、学校の勉強が忙しくてあまり時間がありません」 オランダへの移住は自然な流れだったが、「(悪事でなければ)人と違うことをしたら褒めてもらえ、服装や髪型、自分をアピールすることなどを抑制されないオランダでの日々が、今のNOKOをつくったと思う」と両親は語る。 子どもの頃は「肌に描く絵」だと思っていたNOKOのタトゥーに対する認識は確実に変わってきている。「肌に描くインク以上のものだと年々実感しています。人を幸せにできるもの。一生残る分、 デザイン や技術力をしっかりと高めたいと思うようになりました」 Photos: Courtesy of NOKO Text & Editor: Yaka Matsumoto.

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