featured-image

自分の生きづらさのタイプを テストで確認した後は、そんな自分をどう大切にしていくかを考えてみよう。 ・カウンセリングセンター長の玉井仁さんが、自分に“いいね”を押して満ち足りた気持ちを取り戻すために日常生活で取り入れられる6つの具体的な方法をアドバイス。 1. 周りにしてもらった心が温まる体験を思い出す 自分のことを大切にする第一歩として、玉井仁さんが提案するのは、「誰かが自分にしてくれたことで、思い出すたびに心が温まるような体験を振り返る」こと。 「失恋したときに友人が親身になって一緒に泣いてくれたこと、あるいは苦しいときに子どもの無邪気な笑顔に救われたことなど些細なことでも構いません」。自分のために他者からもらった体験を思い出すことで、自分がひとりではないことやつながりが再確認され、心が自然と潤うのだそう。 「難しい理屈は抜きにして、苦しいときに誰かが一緒にいてくれたり手を握ってくれたりするだけで、ホッとしますよね。このように、周りとの繋がりを実感したり、感謝の気持ちを持ったりすることで心が潤うんです。昨今は人間関係が だ、ということがよく言われますが、心に救いを生み出してくれるのも、やはり人間関係なんですよね」。自分の心のことは自分でなんとかする、と思いがち。でも、実は他者の存在によって私たちは支えられていることを、再認識するのがいいのかもしれない。 2. ネガティブな感情を持つ自分も認めてあげる 怒りや 、悲しみなど、いわゆる“ネガティブ”な感情を持つ自分も優しく受け入れることが重要だと、玉井さん。そもそも、感情に良い/悪い(=ポジティブ/ネガティブ)はなく、人が勝手にこれはポジティブな感情だ、ネガティブな感情だとレッテルを貼っているに過ぎないと話す。 「例えば怒りには、『何かにチャレンジするときに、恐れ怯む気持ちを抑え、奮い立たせる』というプラス面があります。同様に、不安も『何かが起こりそうだ、準備しておこうという、未来を予測し危機回避する力で私たちをサポートする』というように働いてくれます。ですから、怒っている自分にも不安を感じている自分にも、いいねを押してあげてください。キラキラしている自分だけを認めるというのをやめることです」 心の中に生まれたネガティブな感情を認め味わうことは、一見するとさらに負の感情を大きくし、それにとらわれてしまうと考えるかもしれない。しかし決してその感情が増幅することはなく、むしろ繰り返し「そんなこともあるよね」と“いいね”して、その変化を確かめていくうちに、次第に不本意で過剰なまでのネガティブ感情は起きにくくなるから試して欲しい。 3.

長所だけではなく、ダメなところにも「いいね」できるように訓練する ネガティブな感情と同様に、自分の苦手や問題点に対しても受容するスタンスをとってみよう。例えば、効率的で合理的に働くことをモットーにしている頑張り屋の人なら、無駄で自堕落な時間を過ごしたとき、もしそれが不本意であったとしても自己嫌悪に悩むのではなく、「そんなときもあるよ。いつも頑張っているから疲れていたんだね。自分を甘やかす時間があってもいいよね」と、自分の「いいところ」とは異なる自分の振る舞い──つまり「ダメなところ」も受け入れるような意識を持つと、うまくはず。 これは自分に対してではなく、他者に対しても有効。ただし、「ダメなところ」と言っても犯罪につながる言動や自分がやめたい悪癖に関してはこの限りではないのでご注意を。何を変えるのか、何を受け入れるのかの線引きも大切。自分が大切にしたいことを犠牲にすることや、後悔するのに変えられないことについては、「ダメなところ」で片づけず、速やかに専門家へ相談すべき。 4. 必要ならば心の境界線を引く 自分を大切にするためには、嫌いな人やものと適切に距離を取るスキルを持つことも欠かせない、と玉井さん。「例えば、職場で上司が自分のことを理解してくれないなど、不快な気持ちを持っている場合を考えてみましょう。家に帰ってもそのことばかり考えて眠れなくなってしまうのは、心の中で線を引けていないからです。 を変えるなどの物理的な境界線が引けないのであれば、心の中で線を引くことが重要。趣味に没頭するなど、相手のことを考えないよう工夫するのです。自分を守るために、心の境界線を意識してみましょう」 5. 心が喜ぶ“栄養”を積極的に摂る 心が喜ぶもの、つまり自分の心の栄養になるものを知って、心の渇きを感じたときに積極的に補うこともマスト。自分にとっての心の栄養が何だか分からないときは、とにかく「ホッとするもの」「気持ちが温かくなる・和らぐもの」を探してみて、と玉井さんはアドバイスする。「心にとっての栄養とは、副交感神経が働きリラックスできている状態です。自分がどんなときに穏やかで満たされた状態になっているのかを知っておくことが大事です」。恋人や家族の存在、静かにくつろげる時間を過ごせるお気に入りの場所や空間、大好きな など、心の栄養は人それぞれ。 「心の栄養に触れる時間を定期的にとることは、自分を大切にするための重要なステップに。栄養を摂って心が潤っていれば、自然と肯定的な気持ちになれます。色々なことを受け入れやすくもなります。ホッとする何かがすぐには見つからない人も、焦らずに探してみましょう」 6.



心の不調を感じたら、カジュアルに専門家の手を借りる 「柔軟に気持ちが揺れたりストレスを感じたりするのは、 なこと。嫌な気持ちになったときに気分転換やセルフケアで回復する──つまり、まあいいや、と思えれば何の問題もありません」。心が健康な状態であれば負の感情が強くなっても、自分で落ち着かせることができるし、それなりに気持ちの切り替えもできるだろう。しかし、あまりにも心に負担がかかると、自分の力だけでは立ち直れなくなることがある。玉井さんは、そのようなときには専門家の力を借りることが重要だと話す。 「いつもは一晩寝れば元気になるのに、不安が消えない、落ち着かない、何日ももやもやとした気持ちが続くなどの状態は、心のSOSのサイン。心療内科で病名がつくほどに深刻化し、回復まで長い時間が必要になるほど我慢する必要はありません。そうなる前に、早め早めに専門家の助けを求めるのがおすすめです」 自分の心を整理したい、自分とは違う視点で自分のことを見つめ直したいなどのちょっとした理由で相談するのもOK。もっと気軽にカウンセリングを利用してみて、と玉井さんはアドバイス。 「体の場合は、昨日は激しい運動をしたから疲れた、今日は休もうとなりますが、心の疲れは無視したり麻痺ししていたりと気づきにくくなっている人もいます。感情に関しては、私たちは結構うまく押さえ込んでしまいます。体と同様に、心も自分の元気な状態を把握しておいて、自分が今まで楽しんできたことを楽しめなくなっているとか、何か異変を感じたら、なるべく早く専門家を利用していみて。早いに越したことはありません」 東京メンタルヘルス・カウンセリングセンター長。 臨床心理士。公認心理士。精神保健福祉士。ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン卒業。公的機関にて教育相談員として勤務の後、IFF(家族機能研究所)セラピスト・室長などを経て現職。近著に『自分に「いいね!」ができるようになる本』(清流出版)、『7つの感情』(モラロジー道徳教育財団)など。 Text: Kyoko Takahashi Editor: Rieko Kosai.

Back to Beauty Page